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通勤労災について

前回の業務災害に続き、今回は通勤災害についてお話したいと思います。通勤災害制度とは労働者が通勤途中で災害にあった場合に、その医療費や休業補償等を国が保障する保険制度の事です。ただ、全ての通勤災害がこの制度に該当するわけではなく、一定の要件が必要となります。通勤災害が認定されるには、通勤遂行性と通勤起因性の有無が問題となります。まず、通勤遂行性とは通勤の定義に照らして判断しますが、①就業関連性、②住居・就業の場所の意義、③合理的な経路及び方法、④合理的な往復経路の逸脱・中断がないこと、⑤業務の性質を有していないこと、等の様々な要件の内容が重要視されることになります。次に通勤起因性ですが、通勤と災害による疾病や負傷等との間に相当因果関係があるかどうかで判断されることになります。分かりやすく言うと、通勤に内在する危険が現実化したかどうかという事です。ちなみに、通勤途上であっても業務を行っている場合で起きた災害については業務災害となります。
では、実際に起きた裁判例を見ていきたいと思います。女性労働者AはB市農業センターに臨時的任用職員として勤務していました。就業終了後徒歩で自宅に帰る途中で、国道の交差点に至った所、夕食の材料を購入するため、自宅と反対方向約140メートルの地点にある商店へ向かっている最中(国道から約40メートル歩いた地点)に自動車に追突されて死亡しました。Aの夫および子である第1審原告Xらは、本件事故が労災保険上の通勤災害に該当するとして労災保険給付を申請しました。(札幌中央労基署長(札幌市農業センター)事件 札幌高判平元5.8 労判541-27


ここで、先ほどの2つの通勤遂行性と通勤起因性について考えてみたいと思います。簡単に考えれば全ての要件を満たしているように思いますが、実は通勤遂行性の中にある④合理的な往復経路の逸脱・中断がないこと、が問われることになったのです。通勤災害の場合、往復経路に逸脱・中断があった場合でも、それが、「一定の日常生活上必要な行為等やむを得ない事由により行うための最小限度の逸脱・中断がなされた場合は、当該逸脱・中断後の往復につき通勤とされる」となっております。つまり、通勤途中で日常生活を行う為に寄り道を行ってもいいけど、通勤の往復経路から外れている場合で起きた災害は認めない(寄り道の後、往復の通勤経路に戻った後の災害なら認める)という事です。例えば、通勤途上でタバコや雑誌を買うなどの些細な行為は通勤の中断とはなりませんが、裁判例のとおり、買い物を行う為に自宅と反対方向の商店に寄り道を行ったという行為は、「住居と就業場所との間の往復に通常用いる些細な行為の域を出ている」と判断され、通勤の往復経路の逸脱・中断があったとみなされるわけです。すなわち、この逸脱・中断中に起きた災害については、通勤災害を認めないという判断になります。裁判例の結果は、原告側の敗訴となりました。ちなみに通勤災害の場合は、業務災害と異なり、休業給付の最初の3日間の使用者補償義務はありません。また、解雇制限の適用などもないなどの相違もあるので注意が必要です。日頃、何気なく通勤を行っているとは思いますが、実はちょっとした行為がとても重要な判断の別れ道になるのです。

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2012年09月11日 未分類 トラックバック:- コメント:0

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