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◆出張期間中の労災について

労働者が業務中に災害にあった場合に損害を補償する制度として、労災補償制度と、損害賠償制度があります。労災補償制度とは、いわゆる労災保険と呼ばれており、国が労働者に対して各種給付を行う保険です。一方、損害賠償制度とは、労災民事訴訟制度と呼ばれ、被災した労働者が使用者に対して損害の補償を求める制度をいいます。現在では、国の労災給付で損害を賄うのが一般的な考え方であり、労災補償の中心的な役割を果たしていると言えるでしょう。労災保険の給付内容は非常に充実しており、労災が認定されるかどうかは、被災労働者や遺族にとって重要な事となります。労災保険には業務災害と通勤災害がありますが、今回は業務災害についてお話したいと思います。
労災保険において業務災害とは、「業務上で起こった災害かどうか」が焦点となります。業務上という定義には、実は法律上での定義規定はなく、裁判例や行政解釈をもとに判断されることになります。業務上の定義として求められる2つの要素は、「業務遂行性」と「業務起因性」になります。「業務遂行性」とは、労働者が使用者との労働契約の基に支配・管理下にあるかどうかを判断します。「業務起因性」とは、業務と負傷や疾病等との間に相当の因果関係があるかどうかを判断します。そこで、2つの要素が認められるかどうかを以下の場合で考えてみましょう。
①事業場内で業務中に起こった災害は、業務遂行性も業務起因性も認められると思います。
②事業場内で業務に従事していない休憩時間などに起こった災害については、業務遂行性は認められますが、業務起因性は作業環境や企業施設の不備等の原因によることが考えられないと認められないと可能性があります。
③事業場外での業務や出張中の災害については、業務遂行性は認められますが、積極的な逸脱行為や私的行為等が無い限り業務起因性も認められる可能性が高いでしょう。ある判例を紹介します。労働者Aは、出張先で業務終了後に同行者達と飲酒を伴う夕食をとりました。夕食後、宿泊施設内の階段から転倒し、頭部を打撲したことが原因で、その4週間後に急性硬膜外血腫で死亡しました。Aの妻であるXは、Aの死亡が業務上の理由として労災保険の申請を行いましたが、申請を受理した労基署署長は、これは業務災害に該当しないとして不支給処分を行いました。その後審査請求、再審査請求をしましたが、いずれも棄却され、原審でもXの請求は棄却されましたが、Xはそれに控訴を行い、最終的には業務上の理由であると判断され遺族側勝訴となりました。(大分労基署長(大分放送)事件 福岡高判平5.4.28 労判648-82
判決の判断要として、出張中については自宅と出張先との間の往復や宿泊先での時間を含めて出張過程全般において労働者は使用者の支配下あると考えられ、業務遂行性は認められる。問題は業務起因性があるかどうかになるが、業務終了後の慰労懇親会は、一般的に出張に伴うものであり、そこに労働者Aの積極的な業務逸脱行為はなかった。階段からの転落も業務に内在または随伴する危険の現実化したものと評価できるかであり、飲食の結果起こりえたものとして、業務起因性を否定すべき事実はないと判断しました。このように労災の認定は業務遂行性と業務起因性が重要な要素ですので、事業場外での極端な逸脱行為は慎む方が無難ではないかと思います。

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2012年08月22日 未分類 トラックバック:- コメント:0

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