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健康診断とプライバシーについて

採用に対して慎重な選考を行う企業は多いです。今回は、応募者の健康状態を判断するために実施する健康診断がどの範囲まで有効なのか、またプライバシー権の保護はどうなのかという点を考えてみたいと思います。
XはY公庫の採用選考に応募し、4次面接と理事面接を終えた後、A診療所で健康診断を受けました。Xの肝機能の検査数値が高かったため、Y公庫はA診療所に対してB型肝炎ウィルス検査を行うよう指示しました。しかし、Xにはその検査を行う事を知らせていませんでした。検査終了後にA診療所の担当医師は、Y公庫に対してXがB型肝炎ウィルスによる肝炎の所見があることを伝えました。その後、Y公庫はXに対して、C病院で肝機能の精密検査を受けさせましたが、事前に検査に関する説明はしていませんでした。検査を受けたXは医師にB型肝炎ウィルスに感染しているとの説明を受け、その時初めてB型肝炎ウィルスに感染しておる事実をしりました。Y公庫はXに対して、不採用の結果を通知しました。Xは、B型感染ウィルスに感染していることのみを理由とする不採用は不法行為となること、および無断でB型肝炎ウィルス検査も不法行為であるとして、損害賠償を求めて訴えを起こしました。(B金融公庫事件 東京地判平成15年6月20日労判854号5項)

健康状態が十分ではない応募者を採用することはよくある事です。採用後に健康状態が良くない事が発覚し、その後、欠勤や休職期間に入ってしまい、企業に対しての労働力の提供がなされないまま辞めていくといったケースも良く聞きます。当該事件は、使用者が採用過程において、応募者の健康状態を取得する行為がプライバシー権侵害の不法行為となるかが争われました。平成15年に個人情報保護法が制定され、健康情報についてはセンシティブデータとしてより厳格な保護が求められるため、厚生労働省も個人情報の適性な取扱い確保の指針を平成16年に設けました。
判決は、「B型感染ウィルスについては、他人に知られたくない情報であり、本人の同意なしにその情報を取得されない権利は、プライバシー権として保護されるべきである。」としており、「企業は特段の事情が無い限り、採用に当たり、応募者に対してB型肝炎ウィルス感染の血液検査を実施して感染の有無についての情報を取得するための調査を行ってはならず、調査の必要性が存在する場合でも、応募者本人に対してその目的や必要性について告知し、同意を得た場合でなければ、B型感染ウィルス感染について情報を取得することは、できない」と述べました。つまり、原則として応募者本人の同意を得ることが大前提だが、その同意についても調査の必要性が存在しており、その目的や必要性について告知したうえでの同意でなければならないとしております。ただし、プライバシー権の保護ではXの損害賠償請求は認められましたが、不採用通知についての損害賠償は、使用者側と応募者側とに労働契約の成立は確定していないとして、否定されております。
採用活動は企業にとって重要な活動であり、就業規則や採用基準等に応募者の健康状態の取得方法や判断基準のルールを設けておく必要があります。私がよく提案させて頂くのは、採用後ではなく、採用前に直近の健康診断書を提出してもらうという事です。試用期間中で事実相違の場合は解雇できる旨の規定も必要です。

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2012年12月03日 未分類 トラックバック:- コメント:0

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