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労働者の損害賠償責任について

労働者が、会社が営む業務を遂行中に発生させてしまった損害を、会社はどこまで請求できるのでしょうか。今月はこの問題について考えてみたいと思います。もちろん、業務中に飲酒を行ったり、無断で会社を抜け出した際に発生した損害のように故意に行った場合は、労働契約の本旨を逸脱した行為として、相当の損害賠償請求が生じることになると思います。また、それが第三者に発生させた損害である場合、使用者が負った賠償に対して労働者に求償権を行使することにもなるでしょう。 
以下の判例を見ていきたいと思います。
X会社は、石炭、石油、プロパンガス等の輸送および販売を業とする従業員50名の会社で、タンクローリー、小型貨物自動車等の業務用車両を20台近く保有しておりましたが、経費削減のため、これらの車両について対物賠償責任保険と車両保険には加入していませんでした。Yは小型貨物自動車の運転業務に従事し、タンクローリーには特命による場合に臨時的に乗務するだけでした。本件事故は、Yが重油をほぼ満載したタンクローリーを交通渋滞が始まった国道を進行中に、車両距離不保持と前方注視不十分等の過失により、急停車したA会社所有のタンクローリーに追突して、その車両を破損させたというものです。X会社は、破損したA会社のタンクローリーの修理費等を賠償したので、Yに対してその賠償額の求償とYが乗務していたX会社の車両の修理費等の賠償(昭和51年当時で41万円)を求めて訴えを起こしました。1審および原審は請求額の1/4のみ許容したので、X会社は上告をしました。裁判は、「使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の予防もしくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し損害の賠償又は求償の請求をすることができるものと解すことができる」と述べ、X会社が被った被害についての、Yについて賠償および求償できる範囲は、損害額の1/4程度とするべきとしました。結果として、この上告は棄却となったわけです。
使用者が労働者に対して業務命令をし、それを遂行するという事は、必ずその業務の中に何かしらのリスクを含んでいます。使用者は労働者に業務と業務に付随するリスクの両方を抱えて仕事を行わせるとなると、あまりにも労働者が不利な状況になってしまうという事になります。また、そもそも業務中に発生した損害については、使用者が負うべきであるということも言えると思います。ただ、労働者についても、無責任な状態で業務を漠然と行っていいとは言えません。業務を行う以上は、相当な注意を払って遂行する責任が生じます。判例は、実際に発生した損害については、損害の公平な分担と、損失の分散についての使用者の配慮と述べており、労働者の不注意の度合いと、そもそも使用者が取るべきリスク、損失の分散(損害保険等に加入の有無)等を考慮して、その割合を1/4と決定したものと思われます。なお、この1/4というのは、決して明確な根拠はないと思われ、あくまでケースバイケースといえます。自助努力としては、損害保険の加入や、就業規則上に細かな安全配慮の規則を設けることが、もしもの備えになるでしょう。就業規則上に賠償責任の割合や免責事項を載せる際には、1/4は一つの基準になるとは思います。

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2012年12月03日 未分類 トラックバック:- コメント:0

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